老後 孤独
前回は、休職中や転職活動中の方、生活保護を受けている方などのケースを中心に、「生活の孤独」とそこから抜け出す方法について、キャリアカウンセラーの方にお話を伺いました。
今回はそこから話を広げて、「老後の孤独」についてお話を伺います。退職や伴侶を亡くしたことをきっかけに孤独な生活に陥った高齢者の方や、独身のままで高齢を迎えた方なども、前向きに生きる意欲を失っているケースがあります。また、現在30~40代などで独身の方の中には、仕事の有無に関わらず、そうした老後の将来への孤独に対する不安や辛さを感じている方も少なくないでしょう。
高齢の単身者が毎日に充実感を得て、楽しく生きていくためにはどういったことを大切にすればよいのでしょうか。
老後の孤独は、孤独死のリスクや不安へとつながる
少子高齢化や未婚率の上昇などの影響で、独身のまま高齢を迎える方は以前よりも増えています。たとえパートナーがいても、子どもがいない場合、離婚や死別によって高齢になってから一人暮らしをせざるを得ない場合も少なくありません。
中でも、特に高齢の独身男性は孤独化しやすいと言われています。女性に比べ、男性はコミュニケーションが苦手であったり、普段からあまり親戚付き合いや近所付き合いをしていなかったりする場合が多く、それが孤独化の要因と考えられています。
60歳以上の高齢者を対象にした内閣府のデータを見ると、地域の付き合いの程度について、「付き合っていない」と答えた人の割合は、女性の19.8%に対して、男性は25.3%と高くなっています。
同じく内閣府の「孤独死を身近な問題だと感じるか」という調査では、60歳以上の高齢者全体では、「身近に感じる」と答えた人の割合は17.3%ですが、独身世帯で「身近に感じる」と答えた人の割合は45.4%と、倍以上の数値となっています。
独身の高齢者が社会から孤立してしまうと、それだけ孤独死のリスクも高まってしまいます。そして、上記のデータからもわかるように、男性は女性に比べ社会から孤立しやすく、sまた独身の高齢者は男女問わず、孤独死を身近な問題だと感じている人が多いです。
老後の孤独問題:孤独だけでなく虚無感が生きる意欲を奪う
独身の高齢者が他人と関わる機会を作れば、孤独化を防ぎ、孤独死のリスクや不安を抑えることができるのでしょうか。もちろん、趣味などを通し他人との関わりを作ることは重要です。しかし、それだけでは難しい場合も少なくありません。
独身の高齢者同士が参加できる趣味などのコミュニティーは、男女ともに存在します。男性であれば囲碁や将棋など、女性の場合はご近所付き合いでのお茶や、一緒に旅行などにいくという集まりがあるでしょう。しかし、そういった集まりで友人を作ったとしても、家に帰ってから虚無感を覚えてしまう方も一定数いらっしゃいます。
孤独と虚無感は、孤独死と深い関係があります。虚無感が強くなると、ひきこもりがちになり、そういった状態が悪化すればセルフネグレクト状態(通常の生活を送る意欲をなくし、食事を取らなくなったり、医療を拒否したり、不衛生な環境に住み続けること)に陥りやすくなります。
ただ他人との関わりを作るだけではなく、虚無感を上回る充実感や達成感を日々の中で得ることが重要だと言えるでしょう。そして、個人差はあるものの、男女によってその充実感や達成感を得るポイントは異なる傾向があります。