中高年のひきこもりの原因となる希望を持ちづらい社会の問題

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中高年 ひきこもり 原因

「ひきこもり」は少し前まで若者の問題とされてきました。しかし、ひきこもりが社会問題として指摘されるようになってから長い時間が経ち、当時若者だった人も、現在では高齢化しているのが現状です。

ひきこもりの問題は「長期化、高齢化」することでより一層対応が難しいものとなっています。今回は「中高年(40歳以上)のひきこもり問題」の現状と、その原因となる社会的な問題についてキャリアカウンセラーの方にお話を伺ってきました。

中高年のひきこもりはさまざまな原因が幾層にも重なっている

病気や障害が原因という場合を除いても、中高年のひきこもりにはさまざまな理由があります。そのうちのひとつが「親や祖父母の介護」です。介護によるひきこもりは「一旦介護のために仕事を辞めて復帰しなかった」というパターンや、「学生の頃から介護をしていてそのまま」というパターンなどがあり、ひきこもりというより「無職」というニュアンスに近い人もいます。

しかし、介護はあくまできっかけであったり、いくつかある原因のうちのひとつであったりする場合が多いです。介護を含むさまざまな原因が幾層にも重なって、ひきこもりに至ってしまっているケースが少なくありません。

あくまで一例ですが、一度就職したが上手くいかなかった、恋愛や友人関係で深く傷を負うような裏切られ方をした、など本人にしか分からない理由があり、そこに「親や祖父母の介護」が重なって、「介護があるから社会に出られない、出られなくても仕方がない」といった状況に陥る、というものです。それが介護の長期化にともなって、ひきこもりも長期化してしまい、中高年のひきこもりに繋がるのです。

こういったケースでは本人が深いトラウマを長年抱えていることが多く、いわばそれは“パンドラの箱”のようになってしまっています。キャリアカウンセラーもお話を伺う上で、「トラウマのフタを開けないほうが良い」と判断することも多いです。

すでに開き直って過去にできている人は、フタを開けることで解放されていくことが多いですが、自分のこれまでの人生を悔やんでいたり、それまでの自分を許せなかったりする人にとって、フタを開けることは辛いだけでほとんどの場合プラスの作業にはなりません。

原因を探すことよりも、未来に向けて「どう今のひきこもり状態を脱するか」が大切です。中高年のひきこもりの場合は、むやみな原因探しがむしろマイナスになる場合もあるのです。

原因例1:中高年のひきこもりを抱える家族は、疲れ果てて助けを求められない場合も                                    

中高年のひきこもりの難しさは、本人の抱えている問題だけに限りません。若年層のひきこもりに比べ、中高年のひきこもりやその家族に対する世間の風当たりは厳しく、そのために親はひきこもりの子供を隠さざるを得ない状況に追い込まれている場合があります。

結果として本人だけでなく、家族ごと社会から孤立してしまっているケースもあり、そういった状況が支援を阻む要因となっています。

また、親のほうはなんとかしたいと思っていても、子供のほうがそれを嫌がり暴力を振るうケースもあります。あるいは、親のほうが疲れ果てて外部に助けを求めるエネルギーが残っていないケースも少なくありません。

ただ一方で、最近ではひきこもりがメディアなどで取り上げられることが増えたため、親の意識が変わることはあります。自分の子供がひきこもっていることにあまり危機感を持っていなかった親が、テレビの特集などを見て、しっかりとひきこもりと向き合う必要性に気付く場合もあるからです。

社会から孤立していると支援の手が届きづらいため、本人や家族が能動的に動くことが大切と言えるでしょう。そうした意味でも、本人も親も能動的に動ける精神力や体力があるうちに、できるだけ早く外部に働きかけることが重要なのです。

原因例2:親が亡くなると、ひきこもりにはほとんどの場合生活保護しか選択肢がない

社会から孤立しやすく、また親が高齢であることの多い中高年のひきこもりは、親が亡くなると生活保護に頼るしか選択肢がないというケースがほとんどです。親が亡くなったからといって、すぐに就労できる状態でないことが多く、歳を取っていればいるほど生活保護に頼らざるを得ないからです。

また、そういった場合にひきこもりの方が働くことを選ばないもうひとつの原因として、わざわざ大変な思いをして就労しても、生活保護とあまり変わらない金額しかもらえないことが挙げられます。今さら、そんなことのためにイチから技術の習得のために頑張るだけのメリットがないと判断してしまうのです。

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