日本には、失業給付金という制度が存在しています。この制度は失業状態にある方が人として最低限の生活をし、求職活動に支障をきたさないようにするための制度です。しかし、失業給付金は何かと面倒な条件が多く、ややこしいと感じる方も多いと思います。
そこでここでは、失業給付金とは何なのか、失業給付金の条件はどのようなものがあるのか、詳しくまとめていきましょう。
失業給付金とは何か
失業給付金は俗称で、正式な名称は「雇用保険」といい、いわゆる失業給金とは雇用保険の「基本手当」のことをいいます。雇用保険は、今現在失業状態にある人が問題なく再就職できるようにするための給付金です。働いていた経験さえあるのなら、ほとんどの人が受け取れるようになっています。実際に申請の方法もそれほど難しくなく、条件さえ満たせば最短7日間で受け取れると、その条件を見てもわかりやすさと簡単さが重視されているのがわかるでしょう。
とはいえ、失業給付金は全ての人が受け取れるわけではありません。国から受け取れるあらゆる給付金がそうであるように、失業給付金にもいくつかの条件が設定されています。もちろん、条件を満たさずに受給した場合は相応のペナルティを背負うことになり、悪質な場合は犯罪歴がつく可能性もあります。
失業保険は「すでに働いた経験がある、求職中かつ働ける方」に向けた給付金です。全ての失業中の方に向けた給付金ではありません。例えば、職歴がない方、そもそも求職するつもりがない方、すぐに働ける状態にない方は、給付の対象から外れます。この点を理解していないと、失業給付金を貰うためにハローワークへ行ったのに、時間を使うだけになってしまったという事態に陥ってしまいます。
そこで以下では、失業給付金を受け取るための資格と、実際に申請する方法についてまとめていきましょう。
失業給付金の受給資格と申請方法
失業給付金の受給資格は、「雇用保険に入っていたこと」と「現在働ける状態にあり、働く意志がある」ということです。雇用保険とは、国によって定められている、正社員待遇の方が入る保険のことをいいます。企業は社員を雇用保険に入れることを義務付けられているので、要するに「働いていたことがある人」が失業給付金の条件です。
加えて、失業給付金を受け取るためには自分が働ける状態にあり、働く意志があることを示さなければなりません。そのためにはハローワークで「失業認定日」というものが設けられており、月にノルマの回数以上求職活動を行ったのか、現在も収入がなく職につけない状態なのかを調査されます。もし何らかの方法で収入を得ていた場合や、求職活動を不十分にしか行っていない場合は、給付の延期や削減、給付資格の取り消しといった処分が課されます。
とはいえ、ノルマは決して難しいものではなく、文化的な生活を営みながらでも十分こなせるレベルです。就職したいという気持ちがあるのなら、給付資格を取り上げられたりすることはまずないでしょう。ただ、「雇用保険に入っている期間」については、いくつか注意すべき点があります。以下では、失業給付金を受け取る受給資格について詳しくまとめていきましょう。
受給資格は雇用保険への加入が絶対条件
失業給付金をもらうためには、必ず雇用保険に入らなければなりません。ほとんどの人は、意識せずとも働いてさえいれば雇用保険に入っているはずです。しかし、失業給付金をもらうためには、雇用保険に入った上で、期間の条件も満たさなければなりません。つまり、入ってすぐに辞めた状態で受給することはできないのです。
具体的な期間の条件は、原則として「過去2年間の間に、通算で12ヵ月以上の雇用保険者であった期間があること」です。つまり、仕事を辞めてから2年が経過する前に、合計で12ヵ月以上働いていた期間がなければなりません。働いていた期間が極端に短かったり、退職してから2年以上時間が経っていたりした場合は、受給資格を得ることができないのです。
この点は、失業給付金を受け取る際に勘違いしやすい点なので注意しましょう。特に2年の制限期間と、1ヵ月の数え方は間違えやすい部分です。失業給付金を受け取る際の「1ヵ月働いていた」ということは、「給料の出る日にちが11日以上あった月」を示しています。給料の出る日にちがそれ以下だった場合は、1ヵ月とみなされないので注意しましょう。特に丁度1年間で仕事を辞めた場合は、月の数え方に注意しましょう。
ただし、この条件には抜け道が存在します。というのも、離職した理由が「自分の意志とは関係のないもの」だった場合は、雇用保険の加入期間が「1年間以内に6カ月以上」に緩和されるのです。自分の意志とは関係のない離職とは、家族の事情による転職、リストラや倒産に伴う離散などです。また、ハラスメントによる離職も「自分の意志とは関係のない離職」に計上されます。こうした理由で退職した場合は、失業給付金を貰える幅が広がるので、要チェックです。
申請方法
失業給付金を貰うためには、ハローワークを介して国に申請しなければなりません。とはいえ、先述した通りその申請方法は誰でもできるように簡単です。
まずは書類を準備しましょう。準備する書類は、離職票です。離職票とは、自分が間違いなく離職したことを証明する書類で、退職した際に会社から発行されます。次に準備するのが、マイナンバーがわかる書類です。可能ならば、マイナンバーカードを入手しておきましょう。次に、身元確認のできる書類を用意してください。運転免許証など、公的機関によって発行されたものを用意してください。
以上の書類を用意したら、次はハローワークへ行きましょう。ほとんどのハローワークには失業給付金(雇用保険)の専用窓口があるので、そちらの窓口で相談しながら手続きを進めましょう。用意した書類に問題がなければ、次は説明会に行くことになります。説明会に出席すれば、失業給付金の申請は完了です。
失業給付金を不正に受給した人には罰則があります
失業給付金は、条件さえ満たしていれば誰でも貰うことのできる給付金です。そのため、貰えるのならできる限り貰っておくべきです。そのため、失業給付金を申請する方はかなり多く、審査する側も時には疑わしきは罰せずの精神で、審査をおざなりにすることがあります。
しかし、悪意を持って不正受給をした場合は必ず罰則を受けます。支給期間中に無断でアルバイトをした場合などは支給の停止や減額、受け取った分の返還命令などを受ける可能性があるでしょう。また、悪質な形で給付金を受け取った場合は、不正に支給を受けた額の2倍、3倍に相当する額を納付させられる可能性もあります。
さらにこれらの納付には延滞金が課され、最悪の場合は財産の差し押さえをされる可能性もあるようです。ことさらに悪質な場合は詐欺罪に課され、罰金・懲役といった形で刑事罰を受けることも覚悟しなければなりません。このように、不正受給には厳しい罰が下ります。そして、実際に検挙されている人は決して少なくありません。
まとめ
いわゆる失業給付金は、「雇用保険」の基本手当のことを示しています。つまり、失業給付金を受け取るためには、原則として雇用保険に入っていなければなりません。ただ、失業給付金はこれから再就職する人のための給付金なので、再就職する予定がない方は給付を受けることができません。
もし再就職ではなく新規就職を目指す方や、別の形で就職活動を望んでいる場合は、他にも利用できる給付金が存在します。しっかりと調査し、自分にとって最適な給付金を選択できるようにしましょう。