失業したときにも雇用保険の失業給付を受けることができるため安心できます。しかし、失業給付を受けることで扶養から外れてしまうのではないかと悩む人がいるかもしれません。多くの人が気になるこの点について解説しましょう。
失業給付中は被扶養者になれない
失業給付を受けている間は被扶養者になることができません。この点について解説しましょう。
失業給付は所得保証制度
まず前提として失業給付というのは所得を保証するための制度です。これまでの仕事がなくなってしまい、その間の収入を保証するという目的のために給付されるのが失業給付です。
再就職を前提として退職前の生活を維持することが目的
失業給付は受け取るものがこれから再就職を果たすまでの生活を維持させることを目的としています。そのため、再就職をするつもりのないものは失業給付を受けることができません。次の仕事を探すまでの間の収入を保証することを目的としているのが失業給付なのです。
失業給付を受けているものは被扶養者として認定されない
被扶養者というのは自身で生活していくことができないため扶養者に養ってもらっているものです。したがって、収入がない人や収入が一定基準以下の人であれば失業給付を受けることができます。しかし、失業給付を受けるとその期間は収入が発生していることになるため、扶養する必要がないと判断されるのです。そのため、失業給付を受け取っている期間については、被扶養者の認定を受けることができません。
待期期間および給付制限期間については被扶養者の認定を受けられる
失業給付を受けるまでの待機期間や給付制限期間についてはこれまで通りに被扶養者の認定を受けることができます。失業給付を受け取っていない期間は収入が発生せず扶養者に養ってもらう必要があると判断されるのです。
失業給付の受給中も扶養をはずれる必要のないケースがある
失業給付を受注していたとしても、絶対に扶養からはずれるというわけではありません。そのようなケースについて解説しましょう。
失業給付は日額が収入の判断基準となる
扶養になれるかどうかは収入が一定額以上あるかどうかで判断されます。そして、失業給付についてはその日額によって収入が判断されるのが特徴です。
日額3,612円未満は被扶養者を継続できる
もし、失業給付の日額が3,612円未満であるならば、被扶養者の状態を継続することができます。この金額であれば被扶養者の収入基準を下回っていると判断されるのです。
日額3,612円以上では被扶養者の資格が取り消しとなる
もし、失業給付の日額が3,612円以上になっているならば、被扶養者の資格が取り消されてしまいます。この日額以上の失業給付をもらっているならば、扶養される必要がないと判断されてしまうのです。
いずれにしても所定の手続きが必要
被扶養者の状態で失業給付をもらったとして、そのまま扶養が継続されるか、扶養がはずれるのか判断に困ることがあるでしょう。いずれにしても所定の手続きをする必要があるため、そのときに自分のケースで扶養を続けることができるかどうか質問してみるとよいでしょう。
失業給付の延長で扶養を維持できるケース
失業給付の期間を延長することによって受給するまでの期間を延ばすことができ、その間は扶養を維持することができます。どういったケースに該当するのか説明しましょう。
妊娠や出産で働けない
妊娠や出産のために働くことができない場合は、失業給付の受給期間を延長することができます。出産や育児が一段落ついたあとで働ける状態になったならば、そのときに失業給付を受けることができます。そのときまでは扶養を継続することができるのです。
病気や怪我で働けない
病気や怪我によって働くことができないならば、その間は失業給付の延長を適用することができて扶養を維持することが可能です。病気や怪我で働けない場合は扶養者に養ってもらわないと生計を維持することができないと考えられます。また、そもそも就職活動をすることができないため、その期間は失業給付の目的に合わないとされるのです。
親族の介護で働けない
親族の介護をしなければいけないときは、働くことができないため、失業給付の延長をして扶養の状態を維持できます。親族を介護する必要がなくなると失業給付を受けられるようになります。
その他のケース
たとえば、夫が海外赴任することになり、それについていくというケースです。この場合は、失業給付の延長をすることができ扶養は継続されます。帰国したあとは、再就職することができるため、そのときに手続きをして失業給付を受けられます。
失業給付と扶養に関する注意点
失業給付と扶養に関して注意しておかなければいけない点について説明しましょう。
失業給付の受給を終えてから扶養に入るには手続きが必要
失業給付の受給を終えたならば、扶養に入ることは可能です。ただし、扶養に改めて入るためには手続きをしなければいけません。そのためには扶養者の会社とやり取りをする必要があります。どのような書類が必要となるのかは会社の方に問い合わせをしてみれば詳しく教えてくれるでしょう。手続きを終えることによって扶養に入ることができます。手続きの際には健康保険や年金などの手続きをする必要があって手間がかかります。間違いがあるとその分だけ扶養に入るまでに時間がかかってしまうため注意しましょう。
税法上の扶養と健康保険や年金の扶養の判断は異なる
扶養について考えるときに税法上の扶養と健康保険などの扶養では判断が異なる点に注意しましょう。それぞれ被扶養者になるための条件が異なっています。場合によっては一方で被扶養者に該当がするが、一方では被扶養者に該当しないケースも出てくるのです。
たとえば、所得税法の場合はその年の1年間の収入を見ます。健康保険法上では今後1年間の収入見込で判断します。そのため、年の途中で退職したケースでは所得税法上では被扶養者になれないというケースが出てくるのです。所得税法で被扶養者になれない場合は扶養控除を受けることができず、その分だけ税金が上がってしまうため注意しましょう。
不正受給すると大変なことになる
失業給付や扶養については手続きをしっかりとすることが大切です。たとえば、被扶養者の状態で失業給付を受け取るのは不正受給とみなされます。本来、失業給付を受ける資格がないのにもかかわらずお金を受け取っているからです。この場合は大変なことになってしまうため注意しましょう。不正受給は不正な行為によって失業給付を受け取ろうとすれば、実際にお金を受け取っていなくても該当します。さまざまなきっかけで不正受給は発覚するため絶対にやってはいけません。不注意によって不正受給のような状態になってしまうケースもあるため注意しましょう。
不正受給した場合には返済金をすぐに支払う必要があります。また、受けた額の2倍の額の納付が命じられます。これを無視してしまうと財産差し押さえなど強制処分となります。自分が本当に失業給付を受ける資格があるのかよく確認しておきましょう。
まとめ
失業給付と扶養の関係についてまとめました。失業給付を受け取っている間は被扶養者になることができません。ただし、給付を受ける期間を延長することで被扶養者になることは可能です。手続きをきちんと行い、不正受給にならないように注意しましょう。