離婚は仕事に影響するの?夫と別れた後キャリアの面で起こりやすい問題

ワーキングマザー
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2017年の日本の離婚件数は、厚生労働省によると21万2千組でした。この数字からも分かるように、現代では離婚はそれほど珍しいことではありません。

離婚する理由はさまざまですが、離婚の際に多くの女性が離婚後の仕事への影響について心配しているという点は共通しているのではないでしょうか。特に子どもがいてシングルマザーになる場合などは、今までと同じように働けなくなることも少なくありません。

そこで今回は、女性が離婚した際に仕事の面で起こりやすい問題や、離婚がキャリアにどのような影響を与えるのかについて、キャリアカウンセラーの方に伺ってみました。

離婚後に立ちはだかる問題とは?

 

離婚後のキャリアで立ちはだかる問題として主に以下の2点があります。

  1. 苗字の問題
  2. 育児との両立

一つずつ解説していきます。

①離婚後の苗字の問題意外とストレスが大きい?

離婚後のキャリアの中で、実は意外と面倒なのが苗字の問題です。

一般的に女性が結婚した場合、自分の苗字を夫の苗字に変えることが多いですよね。その後、何かしらの理由で離婚にいたった際、働いている女性が苗字を旧姓に戻さないケースは珍しいことではありません。つまり離婚した後も何割かの女性は前の夫の苗字を名乗り続けているのです。

何故かと言うと、今まで働いてきた職場で途中から苗字を変えることは思った以上に面倒な作業だからです。名刺もすでに配っていますし、職場や取引先で苗字を間違えられることもあります。間違えられるたびにいちいち訂正するなど、苗字のことで気を遣わなければならないことが多くストレスに感じてしまうのです。

中には苗字が変わることで仕事がしにくくなるからと、離婚を機に会社を辞める人もいます。またそういったことが面倒で、離婚したこと自体を会社に秘密にしておく方もいらっしゃいます。

子育てと仕事の両立という問題

続いては子育ての問題です。すでに夫婦のあいだに子どもがいる場合、子育てと仕事のバランスをどうとっていくかは、離婚後のキャリアに非常に大きな影響を与えます。

今の日本では、夫婦のあいだに子どもがいる場合、母親側に親権が移ることがほとんどです。そうすると離婚後はシングルマザーとして子育てしていくことになり、ある程度仕事をセーブしながら働くことになりがちです。

シングルマザーになると、今まで旦那さんと分担していたこと(例えば送り迎え、子どもの食事の用意など)もすべて自分でしなくてはいけないため、どうしても働き方を見直さざるをえません。

「今までの職場に通勤することが難しい」「子どものお迎えなどのために時短で働かなくてはいけない」「子育てしながらでもこなせる部署に異動してもらわなければいけない」など、離婚以前の仕事をそのまま続けることは難しくなってしまいます。

しかも同時に夫の収入に頼れなくなるため、時短や部署移動、転職によって収入が減ることは避けたい……という事情もでてきます。

男性は家族が子育てを手伝ってくれるケースが多く、それほどキャリアに影響しない

ここで、父親側に親権がわたった場合もみてみましょう。この場合、女性と同じく子育てのためにキャリアを見直すかというと、実はそうでもなく、あまり影響を受けないことがほとんどです。何故かと言うと、男性の場合、男性の母親や、もしくは男性に兄妹がいれば姉や妹といった家族が子育てを手伝ってくれることが多いからです。

男性はもともと子育てに不慣れな人や、もしくは進んで子育てをする気がない人もいるため、周りの家族が「一人で子育てなんてできないのでは」「子どもがちゃんと育つか不安」などの心配をしがちです。そういった背景もあり、男性が離婚後に一人で子育てをする際は、女性の場合よりも周りの人が助けてくれやすく、本人も頼りやすいという傾向があります。

また、周りに頼れる家族がいない場合は、お手伝いさんを雇うなど外部のサービスを利用して子どもの面倒を見てもらうことも多く、女性のように「家事も仕事も育児も自分でやらなきゃ」という発想になることが少なく、女性より仕事や私生活の面での影響が少ないと言えるでしょう。

その結果、女性のように子育てのために仕事の時間を大きく減らしたり転職したりといった大きな影響を受けることもあまりなく、キャリア面では離婚前とそれほど変わらないことが多いのです。


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女性はひとりで頑張りがち。周囲に頼って働きやすい状況を

時代とともにかなり変わってきてはいるものの、残念ながら日本ではいまだに「子育ては主に女性の仕事」という意識が少なからずあります。そのため、離婚して一人で子育てをするとなった場合でも、男性の場合は「一人だとできっこないから、周りに手伝ってもらえばいい」と自分も周囲もなりがちなのに、女性の場合は「自分で選択したことなのだから、一人で子育ても仕事もやれないといけない」と自分も周囲もなりがちです。

加えて、中には「男女平等」や「女性の社会進出」といった言葉を間違った形で理解し、「子育てが大変であろうと、女性は社会に出て頑張れ」というような、女性に過度の負担を押し付ける考え方の人さえいます。

本来は、女性であろうと男性であろうと「一人で子育ても仕事もするなんて大変なのだから、積極的に周りに頼るべき」と、自分も周囲も考えてよいのではないでしょうか。

働きながらでも家事も育児もできてしまう女性は、離婚後はどうしてもひとりで頑張りがちです。しかし、可能であれば親や周囲の人の力を借りて孤立しないように気を付けましょう。何もかもひとりでやろうとすると負担が増すばかりです。

仕事や育児に追われ余裕がなくなってくると、ついつい視野も狭くなってトラブルも起きやすくなります。余裕がない時、困った時は積極的に助けを求めるようにしてください。

また、親などの協力が得られれば働き方の選択肢も増えます。例えば、週に数日でも親や家族が子どもの迎えに行ってくれるなら、時短勤務をしなくて済むというケースもあるでしょう。

選択肢が増えたぶんだけ、自分にあった働き方に近づきやすくなるので、キャリアの面から見ても周囲を頼ったほうが上手くいくことが増え、離婚によるマイナスの影響を小さくすることができます。

頼れる人が近くにいない場合は専門家に相談するという方法もあります。具体的に転職を考えているなどでなく、「仕事で疲れて、さらに家事と育児に追われてひとりで辛い。ひとまず誰かに相談したい」という場合でも、もちろんキャリアカウンセラーに相談できます。ひとりで抱え込み追い詰められてしまう前に、必ず第三者に相談しましょう。

離婚歴がキャリアの足を引っ張るということは少ない

最後に「離婚歴そのものが与える影響が、キャリアにおいて問題になるのか」についてお答えしましょう。

離婚後に転職(専業主婦の方なら就職)する際に、離婚歴自体が就職に影響し、不利になるかどうかは気になりますよね。今の日本では、昔に比べれば離婚歴が就職に影響する、といったことはかなり減ったようですので、その点はご安心ください。

むしろ、シングルマザーの場合だと「頑張ってくれるんじゃないか」と期待する雇用主もいます。子どもがいるからしっかり働いてくれるだろうということのようです。

また、シングルマザーを雇用した企業に助成金が出る制度があるため、特に小さい企業は積極的に採用してくれるところもあります。

おわりに

今回は、離婚後の女性のキャリアに関して起こりがちな問題についてご紹介しました。

離婚歴それ自体、キャリアにおいてマイナスに働くことはあまりありません。しかし、苗字の問題やシングルマザーの問題のように、離婚によって生まれる状況が働く女性の活躍を阻んでしまうことは事実です。また、日本ではそうした問題は男性には起こりにくく、女性にのみ起こりやすくなっていると言えるでしょう。


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