仕事をしていない状況というのは、どうしても孤独な生活に陥りがちです。
仕事がないと外に出る機会も減りますし、「働いていない」という負い目から、友達や家族に対して距離ができてしまう場合も少なくありません。金銭的にも余裕がなく、「外に出るとお金を使ってしまうから」と余計一人でこもりがちになる、苦しんでいるケースもあります。
今回は、そうした「辛い孤独な生活」について、休職中や転職活動中の方、また働ける状態になく生活保護を受けている方などのケースを中心に、キャリアカウンセラーの方にお話を伺いました。
孤独で辛い毎日、さらに孤独に……という負のスパイラルから抜け出すには?
休職中や転職活動中の方や生活保護を受けている方などは、「働いていない」という負い目や、「できるだけお金を使わないように」という意識から、外に出る機会が減り、孤独になり、辛い生活を強いられているケースが少なくありません。
そうした生活を続けていると、「毎日が辛い」「楽しくない」と感じ、生活習慣なども乱れていきがちです。次第に生きていることが嫌になったり、未来に対して希望が持てなくなったりし、その状況から抜け出す気力さえなくなってしまいます。そして、さらに孤独な状況になってしまうという、負のスパイラルに陥る方が多いのではないでしょうか。
そういった孤独による辛い状態から抜け出すには、生活に楽しみを見つけることが大切ですが、そう簡単ではありません。いきなり「生活を楽しくしなきゃ」ではなく、まずは足元の生活習慣から少しずつ変えていくことをおすすめします。
辛い生活になる原因:「ちいさな怠け」から、生活習慣が乱れる
孤独な生活が続くと、「昼夜が逆転している」、「ご飯をちゃんと食べていない」、「お風呂に入る習慣がなくなっている」などのケースが珍しくありません。人に会う必要も気力もないため、どんどん生活習慣が乱れてしまうのです。
もう少し詳しく、何故そのような状態になってしまうのか考えてみましょう。実は、日々の生活での「ちいさな怠け」が重なった結果が、生活習慣の大きな乱れにつながるのです。生活習慣が周囲の人とズレることでさらに孤立し、より辛い状態になってしまいます。
例えば、「休日に部屋の掃除や用事を片付けよう!と考えていたけれど、うっかり二度寝したりテレビやスマホを見ていたりしてしまい、何もせずに夕方になってしまった……」ということがあったとします。
一日を無駄にしてしまったという罪悪感を覚えるかもしれませんが、こういった「ちいさな怠け」は誰にでもありますし、次の日から仕事や学校で普段の生活に戻れば、その一日だけで生活習慣が崩れるようなことはありません。
しかし、仕事がなかったり、外に出て人と会う機会がなかったりすると、こうした「ちいさな怠け」から生活を戻すきっかけがなかなかありません。
そうすると、だんだん「ちいさな怠け」が当たり前になり、同時に罪悪感も募っていきます。この状態がルーティン化してしまうことによって、生活習慣が大きく乱れていってしまうのです。生活習慣が乱れることによって、周囲の人と生活リズムが合わなかったり、罪悪感から人と会うのにためらいを感じたりと、どんどん孤独に陥ってしまいます。
辛い生活からの脱出方法:簡単なルールをまずは3日!そこから生活習慣を立て直す
生活の中の辛さを取り除き、楽しみを見つけられるようになるには、こうした生活習慣の乱れから脱することが重要です。とはいえ、一度怠けるのが癖になると、いきなり生活習慣を変えるのはハードルが高いという人も多いと思います。
そこで、まずは簡単なルールを決めて、それを習慣化することから始めていきましょう。ルールは、今まで自分がやってこなかったことで、なおかつあまり無理せず守れそうな、ごくごく簡単なものにしておくことがポイントです。
例えば、
・起きる時間を一定にする
・起きたら清潔な服に着替える
・1日5分だけ机の上を片付ける
・毎朝カーテンを開ける
この中のひとつでいいので、自分がこなせそうなものを設定してください。
最初の目標は、それを3日間続けることです。3日続けることができたら、次は1週間、2週間、1カ月と徐々に期間を延ばしていきます。これを半年も続けていると、歯磨きと同じで、今度はそれをやらないと気持ち悪いというくらい習慣化します。
また、「清潔な服を着る」「外出時は寝癖を直す」など、習慣を変えたことが人から見てわかりやすいことにしておくと、習慣の変化に気づいた人から「前より、すっきりしたね」など反応をもらえることもあり、さらに自分のモチベーションを管理しやすいでしょう。
行動や環境を変えることで徐々に意識も変化していき、孤独による辛さを感じなくなる
ルールを作って習慣を変えることができたら、今度は行動パターンを変えていくことをおすすめします。
例えば、食べ物を買いに行く際に、いつも同じ道を使って、同じコンビニエンスストアにしかいかないのであれば、別の道を使って違うお店を探してみてください。もしかすると、家の近くに美味しいパン屋さんがあるかもしれませんし、雰囲気の良い喫茶店が見つかるかもしれません。いつもと違うお店が見つかったら、とにかく一度入ってみましょう。
そういった行動がきっかけになり、コンビニの菓子パンばかり食べていた生活から、週に1度は喫茶店のモーニングを食べる生活へと行動パターンが変化することもあるかもしれませんし、顔を出すうちに、お店の人と世間話をする仲になるかもしれません。
実際に、そうして外に出て見つけたお店でアルバイトを始め、そこから社会復帰や就職へとだんだんステップを踏み出すことができ、孤独から抜け出せたという方もいらっしゃいます。
日々の行動パターンを変えると、自分を取り巻く環境は変わっていきます。環境を変えると、それまでとは違った交流が生まれたり、もともとあった関係性が変化したりすることも少なくありません。自分がいま感じている辛い環境から抜け出すことができ、より良い環境を作り出すための第一歩となります。
こういったことを繰り返しているうちに意識自体が変化し、気が付くと「毎日が辛い」という状態から抜け出していることが多いのです。自分の意識をそこまで変えることができれば、自分の「楽しみ」を見つけられることも、そう遠くありません。
まとめ
心がけだけで「生きるのが辛い」という意識を変えるのは簡単ではありません。そのため孤独を抜け出すためには、まずは無理に意識を変えようとするのではなく、習慣を変えるようにしましょう。
習慣を変えることで、それが生活の変化につながっていきます。生活の変化は、その人の見た目や行動、社会のつながりに影響を与え、そういった流れの中で、気が付くと意識自体も変わっているのです。
毎日が辛いと感じたら、是非習慣を変えてみてください。少し時間はかかるかもしれませんが、続けることができれば、辛いと思っていた孤独な生活に変化が訪れるのではないでしょうか。
次回は、「高齢の方の生活の孤独」についてご紹介します。更新は11月20日火曜日を予定しています。今回の記事と合わせて、是非そちらもチェックしてみてくださいね。
次回記事:孤独と付き合うために、趣味をもって充実感のある毎日を送ろう
次々回記事:老後に感じる孤独や不安……。高齢者が生活の孤独を抜け出し、充実感を得るには
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