現代の日本で、最終学歴が中学校の方はかなり苦労することになります。資格を取得するにしても、就職をするにしても、高卒が最低限の条件になっていることが多いからです。
しかし、いざ高校を卒業しなおそうと考えても、大人になってから高校生活をはじめるのには抵抗がある方も多いかもしれません。そんな方のために用意されている制度が、「高卒認定」です。
ここでは、そんな高卒認定についてまとめていきましょう。
高卒認定とは「高校卒業と同等の能力を持っていることを証明する資格」
高卒認定とは、端的に述べれば「高校を卒業したと同時の能力を持っていることを証明する資格」のことです。高卒認定さえ持っているのなら、高校を実際に卒業するのと同じ待遇を受けることができます。
高卒認定は、高校を普通に卒業する場合と異なり、3年間勉強をしなくとも問題なく取ることができます。もちろん、高卒認定を取るためには、高校卒業と同程度の知識があることを証明しなければならないので、高校3年生と同程度の知識を測るための試験を受けなければなりません。それが、「高等学校卒業程度認定試験」です。
「高等学校卒業程度認定試験」に合格することで、「高等学校卒業認定」を得られる
この試験はそれほど難しくありません。ただし、全く勉強をせずに合格できるものでもありません。しっかりと勉強した上で、必要最低限の知識を身に付けなければ合格することができるものです。この試験に合格することで、いわゆる「高等学校卒業認定」を得られます。
一方、「高卒資格」は実際3年間高校に通った上で、高校を卒業しなければ入手することができません。そのため、時間がない方やすでに働き始めている方は実質的に難しい傾向にあるのです。そのため、高卒認定はすでに働き始めている方や今から高校に入学して入学するのが難しい方にとって、高卒資格は非常に有用なものといえるでしょう。
高卒認定を取るメリット
高卒認定は、先述したように非常に有用な資格です。これを取得していれば、高卒と同様の待遇を期待できます。就職後には「高卒認定である」と堂々といえますし、コンプレックスを背負うこともありません。
実際に「高卒と同様の待遇を受けられる」ということには、一体どのようなメリットがあるのでしょうか。以下では、高卒認定のメリットについてひとつずつ取り上げてまとめていきましょう。
①高校卒業が条件の求人に応募できる
高卒認定の最も大きなメリットは、最終学歴が中卒だったとしても、高校卒業が条件になる仕事に応募できることです。中卒の仕事の多くは、学歴の関係がない肉体労働が多く、デスクワークの求人は多くありません。
しかし、高卒の資格を持っていれば、ある程度求人も増えてきます。もちろん、専門職や技術職などは大学や専門学校を卒業した人を限定に求人を出すことが多いのですが、それ以外の営業職や事務職などは、高卒を最低限の条件として求人をだしています。
もちろん、中卒で営業職や事務職をすることができないというわけではありません。しかし、高卒認定を受けてさえいれば、そうした職業への選択肢を広めることができるのです。最初に就職する先は、その後の人生に非常に大きな影響を及ぼします。その選択肢を広く持てるという点は、高卒認定の非常に大きなメリットといえるでしょう。
②国家試験を受験できる
高卒認定を取ることで、国家資格を受験する条件を満たすことができます。
ほとんどの国家資格は受験の最低条件として高校の卒業を定めています。そのため、いくら能力のある方でも、中卒の状態では国家資格を受けることができません。国家資格試験を受ける予定はない、という方もいるかもしれません。自分の就職予定の場所には、国家資格は必要ないという方も多いはずです。
しかし、国家資格は就職することだけに繋がっているわけではありません。国家資格を持っていることで、仕事的に優遇されたり、給料があがったり、管理職についたりすることができます。さらに、国家資格を持っていれば学歴よりも有用な自己証明として活用できる点も魅力的です。
具体的に、高卒で取ることのできる国家資格には
- 「司法書士」
- 「保育士」
- 「介護福祉士」
- 「調理師」
- 「登録販売者」
- 「国内旅行業務取扱管理者」
といったものが挙げられます。こうした国家資格は、どれも特殊な技能を証明し、自分の能力を第三者に証明してくれる資格です。高卒認定を持ってこの資格を取得すれば、職場の選択肢が広くなるでしょう。
高卒認定以外にもある!キャリアの築き方
高卒認定を取るというのは、中卒で働き始めている方の取れる選択肢のひとつです。ただし、高卒認定を取得しながら勉強をして、しかも就職をするのは非常に難しい道です。ここでは、高卒認定が難しいという方のために、中卒の方が取れる選択肢を紹介します。
①実力主義の仕事で実績を上げる
ひとつめの選択肢は、中卒のままでも働ける仕事に夢を託すことです。中卒で働ける企業に選択肢は多くありません。しかし、決して選択肢がないわけではありません。特に実力主義で働ける、学歴よりもその人間の実力を評価するような企業に出会うことができれば、中卒のままでも問題なく働けます。
②「技術」を身に付けて生活する
また、企業ではなく、お金を取れるような「技術」を身に付けて生活するのもひとつの手です。例えば食べ物を作る技術、絵を描く技術、パソコンを使う技術でもいいでしょう。小説家、漫画家といったものも技術のひとつです。他の誰にも負けないような技術を身に着ければ、それはそのまま仕事になるでしょう。
時間がない方でも通信制なら高卒資格が取れる
働きながら高校に通うという選択肢もあります。詳しく説明しましょう。
働きながら高校に通うことは不可能に感じる方もいると思います。特にフルタイムで働いている人にとって、生活費を稼ぎながら高校生活を送るのは、およそ夢物語のように感じるでしょう。しかし、高校を卒業したいという意志があるのなら、「全日制」の高校や、「通信制」の高校に入学するのも有用な手段です。
「全日制」高校・「通信制」高校に入学するのも有用な手段
通信制や全日制の高校は、昼間に時間が取れない方でも自分のペースで高校生活を過ごし、高卒資格を取ることができます。特に通信制高校であれば、家にいながらでも高校の資格を取れるのでおすすめです。
自分で高卒認定試験のために勉強するのと比較して、全日制の高校や通信制の高校に入学するのには、「先生がいる」という大きなメリットがあります。特に、中卒で仕事をはじめている方は勉強に意味を見いだせていないことが多く、壁に当たったときの乗り越え方を教えてもらっていないので、挫折してしまう方も少なくありません。
その点、高校に通えば勉強の仕方を教えてもらうこともできますし、中学で取りこぼした問題点も教えてもらえます。そういった点で、高校に通いなおすことは大きな選択肢といえるでしょう。
まとめ
高卒認定は、高卒認定試験を受けることによって取得できる資格です。これを持っていれば、高校を卒業した場合と全く同等の扱いをしてもらうことができます。高校に3年間通うのと異なり、試験にさえ受かればすぐに取得できるのがメリットです。
とはいえ相応に難易度は高く、高校三年生と同等の学力を持っていなければ突破できません。過去問なども販売されているので、もし難しいと感じるようであれば、通信制高校の入学なども選択肢に入れるといいでしょう。