日本は社会保障制度が充実している国です。広くセーフティネットを設けており、そのおかげで万が一の事態にも対応しやすい国といえます。特に失業保険(失業手当/雇用保険)は、若者の離職率が非常に高い現代において、多くの人を助けています。
しかし、失業保険の手続きは意外と煩雑で、いまいちわからないという方も多いのではないでしょうか。そこでここでは、ハローワークから失業保険を受け取るための手順を詳しくまとめ、それぞれのステップについても詳細に紹介していきましょう。今から失業保険の手続きに入る人はもちろん、離職を考えている方もぜひ参考にしてください。
失業保険を貰うための手順。まずはハローワークへ行きましょう
失業保険は正確には雇用保険といい、貰えるお金のことは失業給付といいます。このお金は国から再就職を補助するために給付されるもので、ハローワークを通じて申請します。
そのため、失業保険を貰うためには「必要な書類を持っていき、ハローワークで認定を受ける」「説明会に出席する」「失業認定日にハローワークへ行く」の4つの手順が必要です。
それぞれの手順について、わかりづらい点を説明します。
必要な書類
失業保険を受ける場合は、ハローワークに必要な書類を提出しなければなりません。具体的に必要な書類は4つです。
1つめは「雇用保険被保険者離職票」です。文字にすると難しいと感じるかもしれませんが、要するに前職の離職を証明できる書類のことです。失業保険の給付を受けるためには前職において雇用保険に加入している必要があります。つまり、離職票は間違いなく離職したということと、前職で雇用保険に加入していたということを証明するための書類です。
2つめは公的機関が発行した身分証明書です。この証明書では、マイナンバーが確認できる必要があります。マイナンバーカードは身分証明とマイナンバーの確認の両方を兼ねているため、持っている方はマイナンバーカードを持っていくといいでしょう。そうでない場合は、マイナンバーの確認できる書類と身元確認書類の両方を持っていく必要があります。
3めの書類は、証明写真です。縦3センチメートル、横2.5センチメートルのものを用意しましょう。
4つめの書類が、本人名義の預金通帳かキャッシュカードです。本人の印鑑も含めて持っていきましょう。
以上の4つの書類を用意した上で、ハローワークに「雇用保険コーナー」があるので、そちらに行って手続きをしてください。
説明会にも出席する必要がある
無事に必要な書類が不備なく揃っていても、すぐに給付が開始されるわけではありません。手続きが完了したら、「雇用保険説明会」に出席する必要があります。
説明会の日程は最初の手続きの時に決められるので、その日の予定は確実に空けておきましょう。
その後も4週間に1度ハローワークへ行く必要がある
雇用保険説明会に出席すると、その日に「失業認定日」が決定します。この日は、現在被保険者が失業状態にあり、就職する努力をしているかどうかを認定するための日付です。4週間に1度認定を貰う必要があるので、必ず月に1回ハローワークへ行かなければなりません。
また、ハローワークに訪れる度に「どんな就職活動をしたのか」、ハローワークに報告する義務があります。
ハローワークで失業保険を貰うための条件
失業保険は、全ての失業者に等しく給付されるわけではありません。失業保険を貰うためには、一定の条件を満たさなければなりません。
ひとつめの条件が、「離職の日から2年前までに雇用保険の加入期間が通算12カ月以上あること」です。一般的な職業に就職しているのなら、ほとんどのケースで雇用保険には入っています。そのため、「直近2年間に1年以上働いている」ということが失業保険を貰う第一の条件です。ただし、例外として、会社都合で退職した方ややむをえない事情で離職した場合は6カ月の雇用保険の加入でも問題ありません。
ふたつめの条件が、「ハローワークに来た上で失業状態にあり、就職する意志があること」です。失業保険はそもそも、「就職する意志があるのにも関わらず、なんらかの要因で就職ができない方」に向けた保険です。そのため、失業状態でない人はもちろん、就職する意志のない方や就職ができない方は失業保険を受け取ることができません。
そのため、「体の調子を崩してしまって就職ができない方」や「妊娠・出産・育児を経験し、すぐに就職活動をはじめられない方」など、自分以外の事情で仕事を休業せざるを得ない場合も、失業保険を受け取ることは不可能です。そうした「やむをえない事情による休職」の場合は、失業保険ではなく、別の保険や保障を利用しましょう。
失業保険を受けるためには、必ず上述した条件の2つを満たさなければなりません。失業保険の手続きをする前に、条件を満たしているか今一度確認しましょう。
失業保険中は就職活動に励むこと! 就職すればハローワークから手当がもらえます
失業保険を無事に受け取れたら、それで終わりではありません。なぜなら、失業保険には期限があるからです。例外はありますが、失業保険が給付される期間はどんなに長くとも1年間。そのため、失業保険を受け取ったあとは出来るだけはやく就職できるよう、就職活動に励みましょう。
また、前述したように、失業保険を受け取れる条件には「就職活動を積極的に行っていること」も含まれています。つまり、就職活動の如何によっては、給付資格を剥奪される可能性もあるのです。そのため、失業保険中であっても、必ず就職活動に励むようにしましょう。
とはいえ、はやめに就職が決まったからといって損をすることはありません。はやく就職を決めることができれば決めるほど、高額な「再就職祝い金」を貰うことができます。
もちろん、再就職祝い金にも条件があります。具体的な条件は非常に細かいので割愛しますが、以下では「失業の認定を受けたあとの支給額残高が、基本手当の3分の1以上残っていること」です。再就職祝い金は、あくまでもはやく就職できた方に対する給付金なので、給付金の残高が残っていなければなりません。
次の条件が、1年を超えて勤務することが確実であると認められることです。つまり、期間限定の派遣工などは「再就職先」に認められません。必ず継続して勤務をすることを意識しましょう。もうひとつの条件が、再就職先が前職と関係がないことです。就職先が前職からの紹介だったり、関連企業、取引先などだった場合は、手当をもらうことができません。
以上の条件を満たした上で、ハローワークに行って給付を打診することで、再就職手当を受け取ることが可能です。詳しい条件などは、給付の相談へ行く際に聞いておくといいでしょう。
まとめ
失業保険を受け取るためには、まずハローワークに行かなければなりません。その上で、再就職のための行動をしているということをハローワークの職員に認められなければなりません。なぜなら、失業保険は失職した人への給付金ではなく、失業してしまった人が滞りなく就職活動を行うための支援金だからです。
そのため、失業保険にはある程度の規制や条件が定められています。失業保険を貰うことが厳しいようであれば、他の給付金を利用するなど、他の手段も考慮しましょう。