「若者の○○離れ」という言葉。穴埋め問題があったら、ほとんどの人が簡単に2つや3つ入れられるのではないでしょうか。それくらいよく耳にします。
ただ、この「若者の○○離れ」には一方で腑に落ちなさも感じます。なぜなら、若者が一方的に○○から離れていっているようだからです。「若者の◯◯離れ」は、本当に若者だけの問題?この腑の落ちなさについて、〇〇を1つ1つ参照しながら解説していきたいと思います。
「若者の◯◯離れ」の裏に潜んでいるもの
車離れ
車離れの理由として、最も多く挙げられたのは「収入の減少」だそうです。車の購入はもちろんのこと、駐車代やメンテナンス代など維持費も高くつきます。
「今の若者は物欲がない」と揶揄されることもありますが、物欲がなくなったわけではなく、単に物を買うお金がないだけ。こんな状況を「お金の若者離れ」として20歳の大学生が的確に表現し、SNS上で多くの共感を集めました。7万件の以上のリツイートと10万件以上のいいね!を記録しています。
「お金の若者離れ」(朝日新聞5月5日) pic.twitter.com/EC6p7FHu0b
— Tad (@TadTwi2011) May 5, 2018
新聞離れ・読書離れ
筆者が購読しているある新聞では、読者の高齢化に合わせシニア向けの別刷りを作り出したり、「健康」欄が増えたりしています。週刊誌の見出しも、「血圧対策!」や「死ぬまで○○」というキャッチコピーが並んでおり、若者をそもそも相手にしていなさそうです。
こうした状況をみると、若者の新聞離れというより新聞の若者離れのようにも見えてしまいます。
また、現在はサブスクリプション(定額課金制)全盛の時代。どのサブスクリプションサービスも月額1000円前後が相場の中で、新聞の定期購読が月額3000円前後というのもネックになっていると言われています。
テレビ離れ
最近は、テレビに出ているような芸能人よりもユーチューバーの方が、若者からの知名度や人気度が高いと言われる時代です。
なぜテレビよりYoutubeが好まれるのか?ONE MEDIA代表の明石ガクトさんは著書『動画2.0 VISUAL STORY-TELLING』(幻冬社)で、IPTという面白い概念を提唱されています。
IPTとは、Information Per Timeの頭文字をとっており、時間当たりの情報量を意味しています。このIPTを使って、テレビとその競合であるYoutubeを比較してみましょう。
Youtube
IPTが高い=時間当たりの情報密度が濃い
・会話の間(ま)を極端に省略する=ジャンプカット
・早送りできる
・CMをスキップできる
テレビ
IPTが低い=時間当たりの情報密度が薄い
・相槌などリアクション場面が多い
・早送りできない
・CMをスキップできない
コスパ重視の若者にとって、テレビは無駄な時間が多い。彼らはこう思っているのかもしれません。「1時間のテレビ番組は、頑張れば20分に短縮できる。20分で見られるものを、わざわざ1時間もかけて見たくない」。若者がテレビから離れたとも言えますが、一方で若者のスピードに、テレビが追いつけないという見方もできるのではないでしょうか。
視点の入れ替えが大切
○○離れは本当に若者だけの問題?本記事ではこの疑問について、代表例をいくつかピックアップしながらお送りしてきました。「若者の◯◯離れ」は、2つの解釈ができると思っています。1つは「若者が◯◯から遠ざかっている」。もう1つは「◯◯が若者から離れていっている」。問題の本質を見えやすくするためにも、両方の視点があったほうが良いのではないでしょうか。