「高卒認定試験を受験したい」と思っているものの、高卒認定試験の内容や難易度がいまいちわからない、という人も多いのではないでしょうか。今回は、高卒認定試験の内容や難易度、合格ラインについてを詳しく解説します。
高卒認定試験とは?
高卒認定試験とは、正式には「高等学校卒業程度認定試験」と呼ばれるもので、「さまざまな理由から高等学校を卒業できなかった方の学習評価を適切に評価し、高等学校卒業者と同等以上の学力があるかを認定するための試験」になります。高卒認定試験に合格することによって、大学や短大、専門学校の受験資格を得ることができるため、自分の望む道に進学することが可能になります。
ただし、もしも高卒認定試験合格後に進学をし、その後中退してしまった場合には、最終学歴は「中学卒業」となるため、注意が必要です。高卒認定試験は、事情により高校を中退した人や、中学卒業後に就職し社会人になった人などで、「今後のために高校卒業と同等の認定が欲しい」と考えている人に最適な資格試験です。高卒認定試験合格後は、履歴書に「高等学校卒業程度認定試験合格」と記載することが可能になります。
また、高卒認定試験は、平成17年度から「大学入学資格検定(大検)」に代わるものとして作られたものです。高卒認定試験と大検との違いは、「9科目から8〜10科目に変更」「必修科目の『家庭』が『英語』に変更」「選択科目である『簿記・保健』の廃止」「高校・高専等に在籍している方でも受験可能」となった点です。この中でも、高校・高専等に在籍している方でも受験可能となった点が、大きく変わったものの一つであるといえます。
この変更点により、高校・高専にて出席日数が足りずに必修科目の単位が取得できなかった場合でも、高卒認定試験を代用することが学校により可能となりました。このように、大検から高卒認定試験に変わったことにより、さまざまな目的のために利用できる範囲が、より広がることとなったのです。
高卒認定試験合格と高卒資格との違い
高卒資格は、高等学校(全日制・定時制・通信制)を卒業した人に与えられる資格で、「3年間以上の在籍」「3年間で74単位以上を取得」「3年間で特別活動への参加が30時間以上」という3つの条件を満たすことにより、卒業したと認定されることができるものです。それに対し、高卒認定試験は、最短数ヶ月で取得することが可能です。高等学校卒業程度の認定を数ヶ月で取得することができるのであれば、「高卒認定試験の方が楽である」と思う人も多いかもしれません。
しかし、高校生活では、生涯かけがえのない友人となる人との出会いや、文化祭・修学旅行といった、学校生活を通してしか味わうことのできない特別な「高校時代の思い出」を体験・経験することができます。そして、このような高校時代の思い出とは、人生において素晴らしい思い出となることが多いです。そのため、効率の良さだけを優先し、短期間で取得できる高卒認定試験の方が「高校に通うよりも簡単でよい」と考えるのは一概に最適な判断であるとはいえないでしょう。
高卒認定試験の試験レベル(学力レベル)はどれくらい?
高卒認定試験は、合格率が40%前後であることから、難易度が高いと思っている人も多いのではないでしょうか。しかし、実は高卒認定試験は、試験内容の難易度が高いわけではなく、「試験科目数が多く出題範囲が広い」ことが、合格率の低さにつながっています。
また、高卒認定試験は、「大学受験と同じ学力レベルである」と思っている人も多いようですが、高卒認定試験は「高卒認定の基礎学力を判定する」ものであるため、学力レベル的には「中学〜高校1年生程度」になります。
高卒認定試験は試験科目が多く、出題範囲が広いものの、基本的に出題形式は4択の「マークシート方式」です。そのため、わからない問題は勘だけで答えていったとしても、ある程度の点数を取ることができる可能性は高いといえます。また、高卒認定試験は全8科目をすべて合格することにより、「高卒認定」を認められることができますが、一度の試験で全科目合格を目指す必要はありません。
なぜなら、高卒認定試験は、毎年8月上旬と11月上旬の年2回実施されているため、その2回で全8科目合格を目指せばよいからです。また、1回目に合格した科目については、次の試験においては「試験免除」となります。さらに、高卒認定試験は、同年に全科目に合格することができなくても、別の年度に受験することも可能です。このようなことから、高卒認定試験は難易度が高いと思われがちですが、実際には試験免除制度もあるため、少しずつ分散して合格を目指すことにより、8科目すべてを合格しやすくすることができます。
高卒認定試験の合格ライン
現在の高卒認定試験の合格成績は、科目ごとに「A・B・C」といった3段階評価になっており、Aは100〜80点、Bは79〜60点、Cは59〜最低点となっています。そして、高卒認定試験の合格基準となる合格ライン(点数)は、文部科学省から正式に公表されてはいませんが、高校認定予備校の調査による合格ラインの目安は、1科目につき「40〜45点くらい」であるといわれています。
ただし、その年により点数に変動があるため、40点を取れば確実に合格することができるとはいいきれません。そのため、高卒認定試験の合格成績の評価基準から、安全な合格ラインを予測するのであれば、「60点くらいは必要」であるといえるでしょう。
また、高卒認定試験は、入学試験のように合格できる「定員数」が決まっているわけではないため、合格ラインに達していれば、すべての人が合格することができます。
高卒認定試験の目的自体が、進学や就職などのチャンスを広げるための試験であることから、従来の試験のように競争で振り落とすというものではないからです。このような目的の試験であるため、合格基準に達した学力を持ち合わせていれば、確実に誰でも合格できる試験です。そのため、高卒認定試験の特徴を掴み、計画的に勉強をしていけば、比較的スムーズに合格することができる試験であるといえます。
まとめ
高卒認定試験とは、正式には「高等学校卒業程度認定試験」と呼ばれるもので、事情により高校を中退した人や、中学卒業後に就職し社会人になった人などで、「今後のために高校卒業と同等の認定が欲しい」と考えている人のための試験です。高卒認定試験に合格することにより、大学や短大、専門学校などの新しい道へ進むことが可能になります。
また、高卒認定試験は、高校・高専等に在籍している方でも受験可能となったため、必修科目の単位が取得できなかった場合などにも、高卒認定を代用することができます。
このように、高卒認定試験とは、高校卒業の資格が欲しいと思っている人にとって、進学や就職などのチャンスを広げるための大いに役立つ試験となっています。高卒認定試験は、年2回8月と11月に開催されており、最短で数ヶ月もあれば取得が可能です。高校卒業程度の認定が欲しいという人の場合には、ぜひチャレンジしてみることをおすすめします。