失業保険とは、万が一職業を失ってしまった際、一定の期間にわたって生活費や基本的な生計を保障するための社会保険制度の一部です。
失業保険をもらえれば、少なくとも1年間は仕事をしなくとも過ごせる場合があります。
本記事では、失業保険の受け取れる時期や、受け取れる条件を詳しく解説しています。
また、受け取る際の注意点も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
失業手当(失業給付金)とは
失業保険(失業給付金)は、労働者が雇用契約の終了や雇用主から解雇された場合に、一定の期間、生活費や基本的な生計を保障するための社会保険制度の一部です。
具体的には、労働者は前職での就業期間や賃金に基づいて一定の給付金を受け取れます。
失業保険(失業給付金)の支給は、生活費を補完し、雇用機会を見つけるまでの期間を経済的にサポートする役割を果たしてくれるでしょう。
具体的な条件や手続きは地域ごとに異なるので、よく調べるのが大切です。
出典:厚生労働省「雇用保険制度」
失業手当(失業給付金)を受け取るための条件2つ
失業保険(失業給付金)を受け取るための条件は以下の2つです。
- ハローワークで求職申込が完了しており、積極的な転職活動をしている
- 過去2年で雇用保険の被保険者期間が通算12ヶ月以上ある
1つずつ解説していきます。
①ハローワークで求職申込が完了しており、積極的な転職活動をしている
失業保険手当(失業給付金)を受け取るための最初の条件は、ハローワークでの求職申込が完了しており、積極的な転職活動を行っていることです。
失業者はこの登録を通じて積極的に雇用の機会を模索し、転職活動に取り組むことが求められます。
失業の認定を受ける期間の中で、原則として2回以上の求職活動をする必要があります。
この条件を満たすことが、失業保険手当の受給資格の一環となります。
出典:厚生労働省「雇用保険の具体的な手続き」
②過去2年で雇用保険の被保険者期間が通算12ヶ月以上ある
失業保険手当(失業給付金)を受け取るためのもう一つの条件は、過去2年間において雇用保険の被保険者期間が通算で12ヶ月以上あることです。
被保険者期間は、雇用保険に加入している期間を指し、通常は労働者が雇用され、雇用保険の対象となる期間を示します。
この期間が合計で12ヶ月以上あることが、失業保険手当の受給資格の要件となります。
この条件を満たせば、労働者は経済的な支援を受ける権利を得ることが可能です。
出典:厚生労働省「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要」
失業保険手当(失業給付金)はいつから受け取れるのか?
失業保険(失業給付金)は、退職理由により受け取れる期間が異なります。
- 自己都合の場合:7日+2ヶ月後
- 会社都合の場合:7日後
それぞれみていきましょう。
自己都合の場合(一般資格受給者):7日+2ヶ月後
自己都合での退職の場合、失業保険(失業給付金)の受給は、最終勤務日から7日後+2ヶ月の期間を経過させる必要があります。
具体的には、最終勤務日から7日目を起算日とし、その後60日経過後から給付の対象となります。
この一定期間の経過後、失業保険の手続きを進め、給付を受けることが可能。
ただし、待機期間後(7日間以降)の期間に、生活の維持が困難な場合は、週に20時間以内であればアルバイトなどの労働が可能です。
自己都合退職で退職した場合であっても、「特定理由離職者」で理由であれば、受給制限期間がなくなります。つまり、7日間の待期期間のあとに就職が可能です。
以下の理由は「特定理由離職者」として扱われ、会社都合退職と同じ形で失業保険を受けられます。
- 派遣社員で契約更新が出来ずに離職せざるを得なかった
- 心身の障害等により離職せざるを得なかった
- 結婚による居住変更で離職せざるを得なかった
手続きや条件については、地域によって異なるため、詳細な情報は所轄の労働局や関連機関で確認するのが重要です。
出典:厚生労働省「都道府県労働局・ハローワーク(PDF)」
出典:厚生労働省「基本手当について」
出典:厚生労働省「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要」
会社都合の場合:7日後
会社都合での離職の場合、失業保険(失業給付金)の受給が可能になるのは、最終勤務日から7日後からとなります。
労働者が雇用契約の解除などにより離職する場合、一般的には最終勤務日から7日後から失業保険の給付対象となります。
この期間は、労働者が新たな雇用を見つけるために十分な時間を確保し、経済的な安定を保つことを支援するために設けられています。
自己都合同様、具体的な手続きや条件は地域によって異なるため、正確な情報を得るためには所轄の労働局や関連機関に相談するのが重要です。
出典:厚生労働省「都道府県労働局・ハローワーク(PDF)」
出典:厚生労働省「基本手当について」
失業手当(失業給付金)を受け取るために必要な手続き・書類
失業保険(失業給付金)を受け取るためには、手続きと書類が必要です。
この項目では、以下を解説していきます。
- 失業保険(失業給付金)の申請に必要な書類について
- 申請後に失業保険(失業給付金)を受け取る流れ
1つずつ解説していきます。
失業手当(失業給付金)の申請に必要な書類
失業保険手当を申請する際には、以下の主な書類が必要となります。
種類 | 概要 |
雇用保険被保険者証(離職票) | 離職した際に雇用主から発行される雇用保険被保険者証が必要です。この証明書には、雇用保険の被保険者期間や失業の理由が記載されています。 |
履歴書や職務経歴書 | 就業歴やスキルセットをまとめた履歴書や職務経歴書が必要です。これは、再就職のために求人紹介や助言を受けるために使用されます。 |
身分証明書 | 本人確認のため、パスポートや運転免許証などの身分証明書が必要です。 |
銀行口座情報 | 手当金の振り込み先として、銀行口座の情報が必要です。 |
その他の必要書類 | 地域によって異なる場合があるので、所轄の労働局や関連機関で必要書類を確認しましょう。 |
他にも必要な書類が必要な場合があるので、事前に最寄りのハローワークへ確認するようにしましょう。
出典:厚生労働省「雇用保険の具体的な手続き」
申請後に失業手当(失業給付金)を受け取る流れ
申請後に失業保険(失業給付金)を受け取る流れは主に以下の通りです。
- ハローワークへの登録
- 失業保険手当の申請
- 審査と承認
- 手当の受給
失業したら、まず最初にハローワークに登録します。これにより、求職活動の支援や求人情報の提供を受け取ることが可能に。
ハローワークでの登録後、失業保険手当の申請を行います。必要な書類を揃え、労働局やハローワークに提出します。
提出された書類や条件が審査され、手続きが適切であれば、そのまま失業保険手当の受給が承認されるでしょう。
承認されたら、指定された銀行口座に手当金が振り込まれます。
手続きの進捗や受給金額などについては、定期的にハローワークなどで確認することが重要です。
出典:厚生労働省「失業給付金を受給するまでの流れ」
失業手当(失業給付金)を受け取る際の注意点
失業保険(失業給付金)を受け取る際の注意点は以下の3つです。
- 待機期間の7日間はアルバイトNG
- 待機期間以降にアルバイトをする場合は1週間20時間未満まで
- 失業保険(失業給付金)を受け取れるのは退職日から1年間だけ
1つずつ紹介していきます。
①待機期間の7日間はアルバイトNG
待機期間の最初の7日間は、失業者が失業保険手当(失業給付金)を受け取る際に重要な期間です。そのため、この期間中にアルバイトを行うのは制限されています。
なぜなら、待機期間は離職から一定の期間を設け、再就職活動や生計の再建を行う時間を確保するために設けられているからです。
したがって、この初期の7日間は、本来の雇用の喪失に焦点を当て、アルバイトなどの副業は制約されます。
原則としてアルバイトを行うことが認められるのは、待機期間を経過した後となります。
注意深く期間を把握し、適切なタイミングでアルバイトを始めるように心がけましょう。
出典:厚生労働省「Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~」
②待機期間以降にアルバイトをする場合は1週間20時間未満まで
待機期間を経過した後、アルバイトを始める場合、週に20時間未満までの制限があります。
失業者のアルバイト自体は認められていますが、週に20時間を超える範囲での労働は、失業保険手当の受給に影響を与える可能性があります。
この制限は、失業者が再就職の機会を模索する一方で、一定の経済的支援の受け取りのバランスをとるために設けられています。
従って、アルバイトを始める際には、週の労働時間が規定内に収まっているかを確認し、失業保険手当の条件に適合させるよう心がけましょう。
出典:厚生労働省「Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~」
③失業手当(失業給付金)を受け取れるのは退職日から1年間だけ
失業保険(失業給付金)の受給期間には、退職日から1年間という制限があります。
これは、労働者が雇用を失った際に一定の期間内に再就職機会を見つけ、経済的なサポートの受け取りを目的としています。
失業者は、この期間内に積極的に求職活動に取り組み、ハローワークなどの支援を受けながら再就職に向けての努力が重要です。
受給期間が終了する前に新たな雇用を見つければ、経済的な安定を維持できますよ。
出典:厚生労働省「Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~」
失業手当(失業給付金)の受給期間が終わるまでに転職を成功させるために
失業保険の受給期間が終わる前に、効果的な転職を成功させるのがいいでしょう。その際、プロのエージェントのサポートが非常に有益です。
エージェントは、求人情報や業界の動向に精通しており、個々のスキルや経験に合った最適な仕事を見つける手助けをしてくれます。
転職エージェントサービスでは、転職活動の進捗やアドバイスを定期的に受けることが可能です。失業保険の受給期間内に新しい雇用機会を見つけられるでしょう。
気になる人はぜひ活用してみてくださいね。
まとめ
退職に伴う失業保険(失業給付金)の支給時期は、退職の理由によって異なります。会社都合の場合、7日間の待機期間を経てすぐに失業保険を受け取れます。一方、自己都合の場合は、7日間と2ヶ月後から失業保険の受給が可能に。
退職理由は自己申告制であり、失業保険(失業給付金)をハローワークに申請することができます。
ハローワークにおいて退職理由を覆すためには、退職が会社都合であることを証明する必要があります。そのため、退職理由を確実に用意しておくのが重要です。